風のファルク

 
第二章 その2 リザ砂漠2景
 
 

【とわのてっぽうだま】を背負って、SKTの南門。
パロムさんが、数人の騎士と話をしている。
挨拶して、なんとなく話に混ざる。
雰囲気に違和感を感じない。
落ちつく。
ワールドの話から、プレイ中の飲酒、そしてタバコの話。
「私はプレイ中は吸わないです。」
「俺は吸うよ〜。一日1箱半は吸うね」
「あたしは2箱じゃ足りないな」
いつの間にか女性エルフの駒子さんがいる。
「部屋では吸いません。外でしか」
「でも、歩きタバコは、いけないな」
「座りタバコも格好悪い」
「ん?」
「ほら、道路なんかに座り込んじゃう奴w」
笑いが包む。
ヘロヘロさんがやってきて、輪に入る。
「さて、どこへ行こう?」
どうやらパーティハントの待ち合わせだったようだ。
出ていこうとする前に、訪ねられる。
「ファルク君は、どこ行きたい?」
「いいんですか?」
「いいんじゃ、ない^^」
駒子さんが笑う。
「ここからだと、ラミア、SKTC、リザードマンだな〜」
パロムさんが助け船を出すが、みんなどこでもいい、といった表情。
時間はたつが、意見は出ない。
だめもと
「私、リザードマンって見たことありません。」
「じゃ、そうしよう」
ヘロヘロさんの答えは早く、気さくな感じ。
時間が押してしまった騎士達の代わりに、参加させてもらう。
SKTなので犬は、なし。
ヘロヘロさんを先頭に、砂漠の南をめざす。
プリンス、エルフ、ウィザード、騎士2名
途中、若い騎士が他の人に向かっていくモンスターを倒そうとする。
シーフ行為。
「だめ」
ヘロヘロさんが制止し、若い騎士と向かい合う。
話し声は聞こえない。
注意し、説明しているのだろうが、Wisなのだ。
若い騎士に恥をかかせない、気配りが、ある。
砂漠の南。通称リザ砂漠。
岩ゴレ、リザードマン(リザ)、ハーピー(ハピ)。
四方から群れてくるリザをさばきながら、ハピをねらう。
魔法が、弓が、騎士の剣をサポートする。
皇子を中心とした、気持ちいい連携。
しばらくして、パロムさんが動かなくなった。
「ラグったかな?」
若い騎士の位置を見て、ヘロヘロさんがパロムさんの右下に動く。
私はパロムさんの北側に移動する。
それを受けてヘロヘロさんが、さらにわずかに位置を変えると、パロムさんを
中心とした、プリと騎士の見事な三角陣ができた。
しかもヘロヘロさんの位置は、駒子さんをサポートする、絶好の位置。
(この人は、すごい)
警戒しつつ、舌を巻いた。
しばらくしてパロムさんが戻った。
「どうだい?」
「だめだ、不安定でやばい。落ちる」
「じゃ、帰還して」
「悪いな」
パロムさんの飛ぶのを確認して、SKTへ歩いて帰る。
今度は若い騎士を護衛する形。
無事到着。
パーティを解散し、別れる。
爽やかにして鮮やか

夜、トワさんから連絡が入る。
TIにいく。
「ファルク、決まった?」
「竹流さんところは、ねぇ・・」
「行きたいところあるなら、それでもいいよ」
「わがまま言えば、ヘロヘロさんとこ、ですか」
「・・・ヘロヘロ、かぁ」
「だから独りでいますって」
そこに
「こんばん〜^^」
竹流さんがやってきた。
「トワ、リザでもいかない?」
「リザ、か。じゃ装備取ってくる」
トワさんが倉庫へ行き、二人になる。
「竹流さん所は、どんなクランなんです?」
「そうね〜、みんな好きにやってるよ。ちょうどファルク君と同じくらいの騎士が二人
いるから、お互いいい刺激になるんじゃない?」
「目標は?」
「一度だけハイネの玉座に座れたら、アジトを買って、ボスハント、かな」
「戦争、ですか」
「城取りは、言うなればプリの宿命だからね〜」
「私は、人間を叩けませんよ」
「戦争の時は自由参加にするから、気にしないでいいよ」
「そうもいかないでしょ?」
「どうせ、先の話よん^^」
「なんでハイネなんです?」
「ハイネの城から、ハイネの街を見せてあげたい人が、いるのよ」
「その人が言ったの?」
「僕が決めたの。思い込み、かな(^^」
そしてまた、ハモる。
「男のロマンですね(^^」
「男のロマン、だね〜^^」
ようやくトワさんが戻ってくる。
「なによ、やけに仲いいじゃない。何の話?」
「大した話じゃ、ないよ〜^^」
「男のロマンの話w」
「そ、ロマンw」
「なにさ、二人してー」
トワさんがおどけて拗ねる。
「さて、準備ができたら、リザ砂漠〜」
「犬は?」
「ウッドベック(WB)で出しましょ」
3人して、WBへ飛んだ。

犬を連れた、プリンス、プリンセス。そして騎士の変則パーティ。
限りなく寄ってくるリザ。
どうしても防戦の形になる。
そのうえ、竹流さんは、ハピを見つけると飛んでいってしまう。
見かけないな、と思うと、視線の外で固まっている。
それでも、一番頼りになるのが竹流さんとその犬達。
ふと、リザが途切れた。
「ふー」
一息ついた時、竹流さんが動いた。
トワさんが続く。
その時、死角からリザの群がトワさんを目指す。
私は群に飛び込んだ。
倒すはじから、リザが寄ってくる。
赤Pがこぼれるように減っていく。
辛うじて撃退した時、私ははぐれていた。
@「ファルク、どこ?」
@「さっきの場所の近くです。トワさんは?」
@「わかんない」
しばらく沈黙。
@「聞こえた?」
@「え?なにも聞こえません」
@「だいぶ離れちゃったか、どうしよう」
決まっている。
お互いに現在位置も相手の位置もわからないなら、目指せる場所に向かうまで。
@「私はさっきの城に向かいます」
@「じゃ、城壁の北の門に行くね」
@「あい」
途中寄ってくるリザを払いのけ、岩ゴレを迂回する。
目指すはウィンダウッド城
城壁の北角にたどり着く。
二人の姿は、見えない。
城壁に沿って南下。
「いた!」
「ファルク!」
トワさんと竹流さんは東の角付近にいた。
二人も、私同様、ずたぼろ状態。
「どうした?」
「気がついたら、ファルク、いないんだもん」
「あのすぐ後、リザのボックスに手間取りました」
「大声で呼びなよ」
「始末できたなら、たいしたものよん^^」
「すいません」
頭を下げる私に、トワさんが笑う。
「赤P、切れちゃったw」
「帰還スクで、帰りましょ」
「あい」
一瞬でWBに飛ぶ。
「犬、返してくるね」
トワさんが歩み去る。
私は竹流さんに声をかける。
「トワさんを守ってくれて、ありがとう」
「いやいや^^;」
「プリを守るのは、騎士の仕事なのに・・」
「違うよ」
「え?」
「クラン員を守るのは、僕らプリの仕事、さ^^」
守るべき相手に守られる・・。
まだ、ピンとこない。
「まぁ、クランと深く付き合えば、そのうちわかるよ」
「はい」
後は、戦術や武器の話で盛り上がる。
トワさんが帰ってきた。
「ファルク、靴は?」
「ショートブーツ、だったかな?」
「この前、あげたのは?」
「あ、ブーツでした」
「貸して、軽いのと交換してあげる」
ブーツを渡すと、レザーブーツ(レザブ)を渡された。
「上手に使ってね」
「大事にします。ありがとう」
あとは、言葉が出ない。
沈黙
張り裂けそうな気持ちで、形のクランマークを外し、トワさんに渡す。
搾り出すように、一言。
「お元気で・・姫様・・」
「・・聞きなれない言葉だ(;;)」
「・・言い馴れない、言葉です(;;)」
肩書きが、
消えた。
トワさんが、去っていく。
「さて、ファルク君、どうする?」
「近日中に連絡します。今日の明日って訳には、心の整理が・・」
「ふむ。色よい返事を待ってるよ」
「・・必ず、連絡します」

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