風のファルク

 
第二章 その3 入隊
 
 

連絡しないまま、ケントを根城にうろつく。
「ファルクさん、クランマークが・・」
ケリーママの顔色が、変わった。
「・・はい」
「どうするの?もし・・」
「ママ、あのね」
「うん」
「私、ヘロヘロさん、好きです。でも、トワさんは竹流さんのところへ行けって」
「じゃ、ヘロヘロさんの所に、行くの?」
「二人ともトワさんの大事な友達なんです。竹流さんを袖にして他所へ行って
3人が気まずくなったら大変です。」
「・・そうだね」
「もう少し、考えます。」
「あんまり思いつめないのよ。判らなくなったら、またおいで^^」
「ありがとう」
ケリーママと分かれてすぐ、飛車丸さんに出会った。
「先日はありがとう」
「やぁ、姫様元気?え〜と」
「・・トワさん、療養中なんです。」
「あ、クランマーク・・」
飛車丸さんが目敏く、見つける。
「ファルク君、僕ンとこ、くるかい?うちは厳しいけど、それなりに楽しいよ」
「ありがとう、でも、思案中」
「困ったらWisPlz(笑)」

さらに日が過ぎる。
そうそうは待たせられない。
女性騎士の時子さんに連絡を取る。
時子さんは、駒子さん同様、トワさんと密接な繋がりがある。
ケントの南外れで、落ち合う。
「トワさん、もう寝ましたか」
「うん。しばらく起きないよ」
「そう・・」
「どうして?」
「最後にSS撮りたかったから」
「SS?シルバーソード?聞いてきてあげる」
返事も待たずに、時子さんが走り去る。
「SSは、ないな〜」
「?SS=スクリーンショット、です。」
「あ、そうか。でもトワは起きないよ」
「仕方ありません」
「・・ファルク、これ」
手渡されたのは、一本のダマスカスソード(ダマ剣)。
「トワが使ってた。騎士が持つべきさ」
「・・・預かります」
「じゃ」
「・・はい、また連絡します」
時子さんに聞こえたか、どうか・・。

その場で竹流さんにWisを入れる。
>「お世話になりたい、と思います。」
>「大歓迎だよ」
>「どこに行きます?」
>「ハイネ、わかる?」
>「よく知りません」
>「噴水まで来て。迎えに行くから」
ケントから、ギラン経由でハイネに到着。
思えばレベル10で迷い込んでから、17レベルぶりだ。
街の優美さは、変わらない。
>「着きました」
>「今行くよ」
広場の近くにある、一軒に案内される。
「ここは?」
「僕達の仮アジト^^;」
「仮アジト?」
「不法占拠、よん^^」
中には朝焼けの輝きを持つ、女性エルフが待っていた。
声に深い優しさが香りたつ。
「始めまして、Layraeです」
「Lay・・・え?」
「ライラエ、でいいよw」
「・・はじめまして。ライラエさん」
「さて、ウチのクランの方針は知ってるね」
「私はやっぱり、人を攻撃できません。」
「うん、自由参加で、結構」
「あたしも戦争は、行かないよ」
「あぅ(;;)」
竹流さんの前に歩み寄る。
そして
f1.ファルクが室町幕府血盟に加入しました。
入隊。
その頃、街々に見られるようになったばかりの花火が、上がった。
ライラエさんの心づくし。
いくつもの、いくつもの光の華が咲き集う。

その時
「あ、百さんが全チャしてる」
「百さん」
「百地丹波、今日全チャデビューの騎士よん」
さっそくクラチャ
@「始めまして、騎士のファルクです。よろしくお願いします」
@「俺、百地丹波。よろしくな」
@「僕、まつじ。騎士です。よろしく〜」
@「WizのGanosaです。よろしくね」
@「ファルク、レベル、いくつ?」
@「27になったばかりです」
@「じゃ、まつじといっしょか〜」
@「僕は28だよ(^^;」
@「しかし、竹流もまじめに勧誘、やってるんだ」
@「はは^^;」
@「俺、火田民村いくけど、来る?」
@「どこです、それ」
@「グルのずっと、西」
@「今日はやめときます。明日にでも」
@「うぃ、まつじは?」
@「僕も明日(^^;」
@「じゃ、明日にするか」
気のいい連中らしい。



クラチャを聞きながら、竹流さんがLayraeさんとじゃれている。
牛飼いがどうとか。

気がついた。
Layraeさんはクランマークが、ない。
ないのに、肩書きが、ある。
と、いうことは
Lv40を超えている!
「ライラエはね、僕がLv40になったら入隊してもらうの」
「そんなこと、言ったっけ」
「僕が決めたのよん^^」
竹流さんが振り返る。
「さて、ファルク(この時から、呼び捨て)、肩書きの希望はある?」
「考えていません」
「トワの時と同じでも、いいよ」
「それは辞めてください」
(思い出が、悲しみが多すぎる)
「ふむ・・」
f1.竹流がファルクに「自由騎士」という呼称を与えました。
「自由じゃ、ないんですが(^^;」
f1.竹流がファルクに「星を探す人♪」という呼称を与えました。
「私、Wizじゃありませんよ」
「お、わかった?w」
「スレイン、でしょ」
「僕もライラエも好きでね〜、あれ。僕はパーンがいいな〜。傍にエルフもいるしw」
「パーンはプリンスじゃ、ありませんw」
「あぅ(;;)」
「竹流さんはカシュー、かな。レオナーかも」
「あんなに立派かしら^^;」
「あはは^^;」
しばらくは某小説話で盛り上がる。
「で、どうする?他のにする?」
「これが気に入りました」
「うぃうぃ^^」



その時、窓の外を異様な一団が通り過ぎる。
1人のWizの後を、同名のWiz数人が追っていく。
「なんだ?」
「ドッペルゲンガー、だね。鏡の森から引っ張ってきたのかな」
ふと、Layraeさんが真顔で尋ねてきた。
「ファルクさん、たとえドッペルでもLayraeが向かっていったら、Layraeを切れる?」
「さっさと逃げます」
Layraeさんはにっこり笑って
「わたしもよ^^」
「それで正解よん^^」
「ファルクさん、これあげる」
差し出されたのは、ブレイブポーション(BP)20個!
「こんなに貰えません」
「騎士さんは使うんでしょ?」
実際のところ、私はBPを使っていなかった。以前にトワさんにもらった7個は倉庫に入れっぱなし。
BPを使うようになるのは、もう少し先の話である。
しかし、心づくしを無碍には断れない。
「・・あの、騎士みんなで使うってことで、いいですか?」
「ファルクさんがそれでいいなら」
「ありがとう」
@「ライラエさんにBP20差し入れてもらったよ〜。クラン倉庫に入れるから、みんなで使いましょう」
@「おぉ、ありがと〜」
@「ありがとう>ライラエさん」
・・・クランに入っていない人に、クラチャでのお礼は無意味だ(^^;。

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